お誂え
お誂えの流れ
「柄は気に入っているのに地色が納得できない…」
「お気に入りの着物や帯に合わせた、ぴったりのイメージが欲しい…」
「想い出の写真、愛犬やネコちゃんなど、とっておきのシーンを切り取りたい…」
なかなか思い通りの一枚は見つからないものです。そんなあなたにオススメなのが「お誂え」です。
「お誂え」というと上級者向けのように思われる方もみえますが、ご自分で染めるわけではありません。
お客様には特別な知識がなくても、プロのアドバイスでとっておきの一枚を提案させていただきます。
実際に「お誂え」でお振袖を作られたケースを元にお誂えの手順をご紹介いたします。
デザインを決める
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1.デザイン起こし
まずはイメージを固めるために雛形や雑誌などを参考にデザインを決めます。好きな花やお気に入りの写真等を元に、デザインとして着物に取り入れることもできます。
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2.地色選び
着物の基本は地色から。色見本やサンプルの生地を当て顔映りの良い地色を決めます。柄の部分の挿し色は、写真のような色のチップで決めていきます。
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3.地色の試し染めとラフイメージ
生地の種類によっても色は変化します。実際に使用する生地に地色を試し染めしてご覧頂きます。
デザインの全体像は、パソコンでラフイメージを見てもらいながら制作を進めます。
下絵から糸目・糊伏せ・引き染め得意分野に合わせて、京都の悉皆屋に発注します
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4.糸目
染色は大きく分けて手描きと型染めに分かれます。手描き友禅は一枚から発注できオーダー向きです。写真は糸目を引いている所で、色を挿す時に染料が滲まないように、ゴム糊を筒に入れて押し出し、細かな防波堤を作っています。
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5.糊伏せ
地色が先に染めてある状態で柄の色を挿していった方が発色のバランスが取りやすいので、糸目を引いた柄の部分を一旦糊で伏せておきます。
(先に地色を引く場合もあります) -
6.引き染め
柄の部分を糊で伏せた生地をピンと張り、刷毛で染めていきます。
地色を何色かで染め分ける場合は、この段階でぼかしながら染め上げていきます。
色挿し・蒸し水元・金彩刺繍得意分野に合わせて、京都の悉皆屋に発注します
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7.色挿し
水洗いをして糊を落とすと柄の部分が白く浮かび上がってきます。伸子(しんし)を使って生地を張り、電熱器等を使い乾かしながら染色します。地色とのバランスを見ながら糸目からはみ出さないように色を挿します。
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8.蒸し・水元
蒸しをして染料を定着させた後、きれいな水で何度も水を通し余分な染料や糊を洗い流します。
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9.金彩・刺繍
仕上げに金彩と刺繍を施します。
金彩には様々な色や種類があり、友禅を際立たせます。また、刺繍は面積はわずかですが、着物全体に立体感や陰影を生み着姿に動きを作ります。
完成
オーダーの最初のきっかけは、お気に入りの色(地色に染め上げた「空色」)の振袖を着たかったこと。スラリとした美人のお嬢様に合わせて、大胆ですっきりとした友禅をデザインしました。
「誂えは慣れていないと不安だわ」という声も伺います。実は、慣れが必要なのは制作側で、色や柄などお客様のイメージをうまく引き出して着物に帯に表現する「経験と感覚」が重要なのです。時間と手間はかかりますが、それ以上の満足をお届けできます。自分だけの「お誂え」に挑戦してみませんか。